リボンの騎士を読んだ(2020/12/31 追記)
来年2月から放送される『トロピカル~ジュ!プリキュア』のキャラを見て赤い子、キュアフラミンゴが個人的に気になるキャラだな〜と思った。
他に気になるプリキュアは『キラキラ プリキュアアラモード』のキュアショコラだ。
イケメンでかつモチーフが犬でもふもふ尻尾で…とあらゆる面が個人的にツボ。
なおプリキュアアニメは初代しかちゃんと観たことがありません!(それも最終回観れてない)
で、そのキュアショコラって外観のモデルは手塚治虫の『リボンの騎士』だろうなぁと思ったのだが、思い返せば僕はリボンの騎士を読んだことがない。
女の子が男装して敵と戦う、みたいなざっくりとしたイメージのみだったので調べてみると
『男の心と女の心を持ったサファイア』
が主役ということでなお気になってKindleで読んでみた。
全部で3巻なのな。そして1巻はKindle Unlimitedにあり、残り2巻も買っても¥594とお安い。
気になる方はこの機会に1度読んでみては如何だろうか。
さて、ここからは内容について書きたい、つまりネタバレをしていきたいと思う。
興味あるけど未読の人は1度読んでからまた来て欲しい。
いいかな?では行くぞ。
導入紹介(冒頭のネタバレあり)
神様がこれから生まれる子供に性別を与えていた。
男の子になる子供は男の心を、女の子になる子は女の心を飲まされ性別を得ていた。
ある子供が、順番待ちをしていると天使に
「君は男の子っぽいからこれ飲みなよ!」
と男の心を貰って飲んだ。
いざ自分の番になると神様はなんと自分を女の子にしようと考えていた。
訂正する間も無く女の心を飲まされた子供。
時間もないのでそのまま人間界へ生まれて行ったが、犯人の天使はその子供から男の心を回収して女の子にするよう言いつけられて一緒に人間界へとやってきた…。
そしてある国で王の子供が産まれた。
女の子だったが、伝達ミスで「王女」ではなく「王子」として国中に伝わってしまった。
今更訂正もできなかったので仕方なくその女の子は王子として育てられることになった。
そうして15歳ななったサファイアは母の前では女の子モード、表向きは王子すなわち男の子モードを使い分けて生きているのだった。
そんなサファイアはある時女装して名もなき乙女として参加した舞踏会で隣国の王子と出逢い、互いに惹かれていくのだが…。
両性を持ってる所が刺さる
うん、刺さるね。
自分もきっと飲む心に手違いがあったのだろうねw
みたいな感覚になる。
でも気になるのは、やはり元々女子として生まれるはずで体も女子として生まれたのかな?(それとも心の性が体に反映される世界観なのだろうか。途中サファイアは男の心のみの完全なる男性になったりもする)
そうだからか「でも自分は女子として生きたいの…」という一面もあって、そこは個人的には共感しにくかったり😅
結果的に男性と恋に落ちるしな。
でも表向きは誰にカマかけられようと男モード崩さずに行けたのは、やはり男ぶってるのではなく男の心があったってことなのだろうな。(途中読んでた本も女性と付き合う方法とかだったしw)
当時としては斬新さが段違いだったのだろう
男として産まれたなら強く勇ましく、女として産まれたならしおらしく優しく、という価値観が強く残っていた時代の作品。
きっとそんな世の中で出てきた今作の衝撃は計り知れないものだったのだろう。
“女”らしくないのに女体に産まれた者、”男”らしくないのに男体に産まれた者…。
そんな人はいつの時代もいてひっそりと生きていたのだろう。
そんな人にとっては今作の「女子として産まれたのに男らしさも兼ね備えてる」キャラはとても斬新に写ったことだろう。
僕個人の印象としては、実はガツンと来るものは特になかった(苦笑
それはサファイアがどんなキャラか朧げに知っていたのと、今の世の中FTM、MTF更にはXジェンダーという概念が徐々に広まっている時代に読んだからだろう。
もし今の時代にこんな世界観を描くならば…
ここで無粋だがもし今の時代に描かれたなら?という妄想を少しした。
なお結末をネタバレしているので、ここまで読んだ未読派で結末を見届けたい人は読んできてほしい。
最終的には天使の使命【サファイアから男の心を抜き取り女の子にする】は果たされ、サファイアは隣国の王子と結ばれる。
最終的に完全に乙女になって「あ、結局そうなるのね」と正直思った。
でもまぁ確かに、「女子として産まれたが男子として育てられ、最後は完全に男子になります」は当時の価値観にとって斬新すぎるってレベルじゃないわなw
で、僕はふと「もし今こんなコンセプトで描くなら…」という妄想がよぎった。
それは「サファイアは完全に男になって女子と添い遂げる」
女子として生まれが男子として育てられ、そして男子として女子(まぁここは男子でも構わないです。もっと斬新さが加わると思うけど)とくっつく(体は女体だが)
いや、それが面白いかはさておき、今の時代ならそんな道があっても何らおかしくないだろう。
或いは両性を自分の中に残したまま「でもこれがぼくだから」と自分の全てを認めて生きていく…とかね。
こっちの方がより先進的かもしれないな。
まぁ、この妄想が斬新かと言われれば、今やセクマイという概念が広まった今、連載当時ほどの衝撃を与えることはできないだろう。
でも、今のより🏳️🌈が認められてきている時代なら、「女として生まれなんやかんやありつつ最終的に女として生きていく」というある意味「元の鞘に収まった」状態をぶち壊す表現もアリなんじゃないかなって。
少なくともそんな展開だったら僕はもっと受け入れられたような、背中押されたような感覚になったかなと。
分かる人だけが分かってくれればいいです✋
男女の間で揺らぐ「両性」というところがとにかく刺さる
前にも似たような見出しを作ってなおこんなこと叫んでるが、うん、やはり刺さるね。
僕もなんだかんだで両方持ってるのかなーと自分で思う。
これまで育ってきた環境からの「慣れ」と、自分はこうありたい、こっちのがしっくり来るという「本音」との間で揺らぐ感じ…。
高校生の頃は本音を大事に前面に押し出して生きてたけど、最近は色々諦めと楽さもあって慣れも受け入れている、そんな感じで生きている。
まさか自分が自分の現状をある程度受け入れて生きているとは、あの頃は思ってもなかったってか「屈しないもん!ぷんぷん!😡」て感じだったからなぁ。
ま、自分は割と中性的な雰囲気が作れるのと、そのスタイルを認めてくれるコミュニティがあるから強く「俺はこうしたいんじゃー!」という感覚が薄れてきたのもある。
それこそ高校生時代は制服があるわけで、強制的に生まれ持った性に縛られるからな…だからより反発していたのだろう。
今となってはなんだかんだでこんな自分も「ま、いっかぁ〜」と認めることができていたりもする。
時折無性に「あーぁ…」と凹む時もあるがな。
そして思うのは、「性別を意識しない生き方ってどん感じなんだろう」という疑問な。
今となっては「セクマイな自分」というものが1つのアイデンティティになっている部分もあるので、良くも悪くも「性」を意識して生きているからな。
締めに入るよ
とまぁ、なんだかサファイアと自分を重ねて見たりして自分語りもしたりしたが、こうして色々考えさせられる力を持つというのも名作だなぁと思うわけです。
そして今後このお話がこれからも愛され、「当時は衝撃だったんだろうけど今となっては別に珍しくないよね〜」と言われるくらい世の中が🏳️🌈を、あらゆる存在を認められるようになったらいいなと思う冬の夜でした。
(2020/12/31追記)バージョン違いがあるのね
どうやら上で僕が読んだものは「なかよし版」と言ってそれともう1パターン「少女クラブ版」があるらしい。
他にもリメイクや大本から設定が変わってるものとか色々あるが、基本的に原作といえばこの「少女クラブ版」と「なかよし版」を抑えておけばいいらしい。
因みに連載順は「少女クラブ版」→「なかよし版」らしい。
そしてこの2つ、表記の違いといったところも見られるがサファイアの描写やストーリーの展開といった根幹に関わる部分でも違いが見られるらしい。
(らしいらしいが続いて申し訳ない)
…というわけで読んだよ!「少女クラブ版」は2巻しか出てなかったしな!
サファイア(「少女クラブ版」ではサファイヤ)が男女両方の心を持って生まれたのは同じ。
そして女として生きることへの願望が地味にある点も同じ。
途中アクシデントで女の心が抜き取られ完全に男になるのも共通していた。
しかし、その過程や後半の展開、登場するキャラクターは確かに違っていた。
個人的に興味深かったのは「リボンの騎士」としての活躍だ。
実は「なかよし版」でリボンの騎士を名乗って敵と戦っていたのはほんのワンシーンのみである。
「少女クラブ版」だと、前半に1回(ここは「なかよし版」と共通)、後半に1回の2回リボンの騎士に扮するシーンがあった。
そう、タイトルで言ってる割に作中はサファイアとして奮闘するシーンの方が多いのである。
あとは「少女クラブ版」の方がより性別への言及がされていたようにも思う。
完全に女になったが悪魔に魅入られてしまい、より女らしさ(ってなんやねーん!)を身につけなければならないと感じたサファイアと励ますプラスチック王との会話↓
プラスチック王「女のかただって勇ましい強い人もあります/なぜ そう無理に女らしくなろうとなさるんですか」
サファイア「でも私はやっぱり女ですものね」
…今の時代だと色々と言いたくなりますねこのシーン!
僕としては男勝りな女も女々しい男も全然ありだと思うからね、サファイアはサファイアの思うように生きてほしいところ。
最後の描写でも「なかよし版」は完全に乙女になったように見られたが「少女クラブ版」は少しボーイッシュな一面も残したのかな?というかハッキリと描写されてないから完全に乙女になってしまったのかどうかは分からないんよね。
今の世ではジェンダーによる「固定観念」はだんだんと崩れて「誰もがその人らしさを大事にできる」ようになろうとしているから、どうしても「リボンの騎士」の根底にある「男は勇ましく、女は優しく」という概念が「…古いなぁ😅」と思えてしまうのよね。
勿論それでも当時としては「勇ましい女の子」として斬新だったとは思うんだけどね。最後のサファイアが女子として王子と結婚するところは「ふーんそうなるかぁ」という感想が「少女クラブ版」を読んでも拭えなかったり😅
やはり今の世で仮にリメイクとかするなら、もっと両性持ってるところとかそれ故の葛藤みたいな(「少女クラブ版」は一瞬葛藤してはいたが)、あやふやな心理描写とか、果ては男女どちらの自分も自分だと認めて生きていくとかいうパターンも良いよなぁとつい妄想してしまう。
とまぁ色々書いたが、サファイアはやはりとても魅力的なキャラだ。これをセクマイという概念のない時代に生み出した手塚治虫は改めて凄いと思う。
因みに公式がYouTubeに上げている1話を見たら、これまた雰囲気が原作漫画と違ってて驚いた。
漫画だと思慮深そうな印象を受けたがアニメだとまさにわんぱく小僧といった印象。
そして原作は続きものドラマだったがアニメでは1話完結なストーリーと、新たな一面が見られた。
1話は赤ずきんの要素も少し入れているのかな。
まぁアニメはアニメで王妃が「女の子の幸せも知らないで…かわいそうに…」と泣いていたが「女の子の幸せ #とは」みたいにポカンとしたりw
そういうのは周りが押し付けるものでなくて本人が見出すものではないかねぇ。
今後こういった凄い作品は出るのだろうか。それとも知らないだけであったりするのだろうか。
今後とも色々知っていきたいところ。
いつになるかは分からんが次は「ベルサイユのばら」を読んでみたいなとも思う。
(こうして見事に「男装の麗人」に沼っていくのであった…)